イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
滑り台やブランコ、ネットのトンネルなどの遊具で思い切り遊んだ蓮くんのこめかみから、大粒の汗が伝っている。
「汗を拭くから、じっとしていてね」
「うん」
今日の天気は雲ひとつない快晴。ベンチにずっと座っていた私にはちょうどいい気候だけれど、体を動かし続けていた蓮くんには少し暑いかもしれない。
キャップを脱がして蓮くんの汗をハンカチで拭っていると、自動販売機に飲み物を買いに行っていた安藤が戻ってきた。
「ほら、蓮。これ飲め」
「うん」
安藤はペットボトルの蓋を開けて、それを蓮くんに渡す。
大人なら片手で持てるペットボトルも、五歳の蓮くんには大きい。両手でペットボトルを持ってスポーツドリンクを飲む蓮くんの姿はやはりかわいくて、食い入るようにその様子を見つめた。
「蓮。たくさん遊んだな」
「うん。もっとあそびたい!」
安藤は蓮くん手からペットボトルを拾い上げると、スポーツドリンクを口に含んだ。一本の飲み物を共有する自然な様子は、まるで本当の親子のようだ。
「だけど腹減っただろ? なにが食べたい?」
「ハンバーグ!」
蓮くんが満面の笑みを浮かべて即答するから、思わずつられるように笑ってしまう。
「蓮くんはハンバーグが好きなの?」
「うん。だいすき!」
私が蓮くんに尋ねれば、すぐさま元気な答えが返ってきた。
「そうか。それならハンバーグを食べに行こうか」
「ヤッター!」
ベンチから立ち上がった蓮くんが、小さなジャンプを繰り返す。
蓮くんがよろこんでくれると私もうれしい。それは安藤も同じらしい。
はしゃぐ蓮くんを見つめる安藤の瞳が、穏やかな弧を描いていた。