イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「なあ、柴田。今、チーズハンバーグもうまそうだなって思っただろ?」
「そ、そんなことないですからっ」
まるで私の心を見透かしたようなことを言い出した安藤に驚き、慌てて反論した。
「まあまあ、そんなにムキになるなって。なんだったらシェアしてやってもいいけど?」
安藤の口角が意地悪くニヤリと上がった。
「結構です!」
「あ、そ」
上から目線の安藤が気に入らない。つい感情的に言い返すと、蓮くんが安藤のシャツをクイッと引っ張った。
「ねえ、あさひ。ケンカしてるの?」
蓮くんの口もとは下がり、澄んだ瞳はうるうると潤んでいる。
「別にケンカしてないから。蓮、ビックリさせてごめんな」
安藤は蓮くんのキャップを脱がすと、小さな頭をクシャクシャとなで回した。
大好きなママとパパは仕事で不在。今、小さな彼が頼れるのは叔父である安藤と、赤の他人である私しかいない。それなのに蓮くんの前で言い争う姿を見せてしまったのは、配慮に欠けていたと反省する。
「蓮くん、ごめんね」
不安にさせてしまったことを謝れば、蓮くんがコクリとうなずいてくれた。蓮くんが泣き出したら、正直どうしたらいいのかわからない。
蓮くんの機嫌が直り、ホッと胸をなで下ろす。すると、店員さんに名前を呼ばれた。