イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「いいの?」
まだ五歳なのに私に遠慮を見せる蓮くんがかわいらしい。
「もちろんいいよ。ね? 安藤?」
念のため安藤に確認すると「ああ」という答えが返ってきた。蓮くんの顔に笑みが浮かぶ。
こんなことで喜んでくれるなら、毎日本屋に連れて行きたくなっちゃうな……。
そんなことを思いながら、屈託のない笑顔を見せる蓮くんの手を握ると本屋に入る。雑誌コーナーを抜けた先が絵本コーナーだ。
「蓮くん、どれにしようか」
「うーんと……」
蓮くんが悩んでしまうのは無理もない。だって絵本コーナーには様々な本がズラリと並んでいるのだから。
「あ、これ。懐かしくない?」
そんな中、思わず手が伸びたのは、赤と青の服を着た二匹の野ネズミが描かれている絵本。安藤に表紙を向ける。
「俺もよく読んだ。大きなカステラがおいしそうでさぁ」
「そうそう」
安藤はその絵本を手に取ると、パラパラとページをめくった。横から絵本を覗き込み、安藤と一緒にクスクスと笑い合う。
私だけでなく安藤も読んだことがあるのなら、連くんにも読んでほしいと思った。けれど、蓮くんが選んだのは動物が旅をする絵本。