イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「蓮くんは動物が好きなの?」
「うん。だいすき!」
「そうか。それならこれにしようか」
「うん!」
私がいいと思う物よりも、蓮くんが気に入った物を買うのが一番いい。
そう思った私は動物の絵本を胸に抱える蓮くんと一緒にレジに向かった。すると安藤がさっきの絵本を手にしたまま、私たちの後ろをついてくる。
「安藤?」
「シー」
安藤は口に人差し指をあてると、私の耳もとに唇を寄せてきた。
いったい、なに?
急に縮まった距離に驚き、肩がピクリと跳ね上がる。しかし安藤は私に構うことなく、耳もとでささやき始めた。
「これは俺から蓮へのサプライズ。絶対に言うなよ」
耳にかかる吐息交じりの安藤の声が、くすぐったい。
「う、うん。わかった」
そう返事をすると、安藤から慌てて離れた。
自分たちが幼い頃に読んだことがある絵本を、蓮くんにプレゼントしようとする安藤の気持ちはうれしい。
けれど安藤から距離を取っても、彼の低いささやき声が耳から離れないのはどうして?
安藤の振る舞いに、いちいち影響を受けてしまう自分が情けない。