イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
同期のアイツのウチ
会計を済ませるとプラチナガーデンを後にする。カレーに入れる野菜と肉などの荷物は安藤が持ち、キャリーケースは私が運ぶ。キャベツが入った袋を持って、お手伝いをしてくれる蓮くんが頼もしい。
「蓮、がんばれ」
「うん!」
安藤が蓮くんにひと声かける。一番重い荷物を持っているのは安藤なのに、蓮くんを励ます余裕があるとは驚きだ。
安藤は仕事も蓮くんの世話も、そつなくこなす。だから私がいなくても、安藤ならひとりで蓮くんの面倒を見られるはずだ。それなのに私を頼ってきたのはどうして?
朗らかな笑みをたたえて蓮くんを見守る安藤の横顔を見ても、答えは出ない。腑に落ちないまま足を進めていれば、視線を移動させた安藤と目が合った。
「穂香。疲れた?」
「えっ? あ、ううん。そんなことないよ」
「そうか。なんだか元気ないように見えたから」
安藤が私を心配するなんて珍しい。
「元気ならあるよ。それより安藤、その荷物重くない? ひとつ持とうか?」
幼い蓮くんに注意を払うだけでも大変なのに、私にまで気を使わせてしまっては申し訳ない。少しでも安藤の負担を軽くしてあげようと思っただけなのに……。
「俺に優しい穂香って……気持ち悪いな」
安藤は足を止めると真面目な顔でそう言った。
少し親切にしただけで、私をけなすとは失礼ではないか!