イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

「いただきます!」

三人で声を揃えて挨拶するとカレーを頬張る。

「うん。うまい!」

一番始めに声をあげたのは安藤だ。決して手際よく作れたわけじゃないけれど、それでも安藤の言う通りおいしくできたと思う。しかし問題は、蓮くんの口に合うかどうかだ。

「蓮くん、どう?」

モグモグと口を動かす蓮くんに尋ねると、すぐにうれしい答えが返ってきた。

「おいしい!」

「よかった」

蓮くんの弾ける笑顔を見て、ホッと胸をなで下ろす。

味は蓮くんに合わせた超甘口だけど、これはこれでおいしい。和やかに食事の時間を過ごしていると、安藤が声をあげた。

「あ、蓮。人参も残さず食えよ」

蓮くんのお皿には多くの人参が残っている。

「蓮くん、人参嫌いなの?」

「うん。きらい」

つきさっきはおいしそうにカレーを頬張っていたのに、今は明らかにテンションが下がっている。わかりやすい反応を示す蓮くんはかわいいけれど、嫌いだからといって残していいよとは言えない。

「蓮くんが洗ってくれた人参だよ。おいしいと思うけどな」

「……」

私の必死の励ましも蓮くんには通じない。蓮くんは不機嫌そうに唇を尖らせると、スプーンを置いてうつむいてしまった。

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