イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
洗った髪の毛を乾かしてリビングに向かう。すると先にお風呂から出た蓮くんが私を見るなりクスクスと笑い出した。
いったいなにがおかしいのだろう。
首を傾げると蓮くんが安藤の耳もとに顔を寄せた。
「ねえ、あさひ。ほのかちゃんのおっぱい、ママのおっぱいよりおおきいんだよ」
蓮くんは内緒話のつもりらしいけれど、かわいい声がダダ漏れだ。
「マジで?」
「うん!」
下心がない蓮くんが私の胸について興味を持つことに対して嫌悪感はない。けれど大人げなく蓮くんの話に関心を寄せる安藤にはあきれてしまう。
「コラッ! そこの男子ふたり! エッチなこと話してんじゃないのっ!」と鼻息荒くふたりを叱る。すると「スンマセンでした」と安藤がふざけ気味に謝った。
私たちの様子を見ていた蓮くんがケラケラと笑い出す。
「すんませんでした」
蓮くんが早速、安藤の口真似をする。
ママを恋しがって泣かれるより、和気あいあいとしている方がいいか……。
蓮くんにつられるようにクスッと笑っていると、安藤がソファから立ち上がった。
「もう寝る時間だな。蓮、歯磨きしてベッドに行くぞ」
今の時刻は午後九時。大人の私たちにしてみれば、夜はこれからという時間だ。しかし五歳児の蓮くんにとっては、もう寝る時間。安藤のウチにお泊りだからといって、生活リズムが崩れるのはよくない。
けれどそれは大人の考えであって、五歳の蓮くんには通じなかった。
「やだ。まだねない」
頬を膨らませた蓮くんが首を左右に大きく振る。