イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
明日はいったい、どんな一日になるのかな……。
缶ビールを味わいつつボンヤリと考えを巡らせていると、安藤が思わぬことを口にした。
「なあ、穂香。もしかしてスッピン?」
「あっ、うん。そう」
低い身長と実年齢よりも幼く見られる童顔がコンプレックス。華やかなピンク系ではなく、クールなブラウン系のアイメイクを施すのは、少しでも大人っぽく見られたいから。これでも人知れず、涙ぐましい努力をしているのだ。
それなのに安藤にスッピンを見られてしまうとは、なんたる不覚……。
今になって、お風呂に入ったついでにメイクを落としてしまったことを後悔した。
「いつもと雰囲気違うな」
安藤はそう言うと缶ビールをあおる。
「そ、そう?」
「ああ。それに髪も下ろしてるし、穂香なんだけど穂香じゃないみたいで、ちょっと戸惑う」
普段は銀行の制服を着用している私も、蓮くんと一緒に過ごす三日間はパンツスタイルにスニーカーといった動きやすい服装で過ごすと決めている。しかも今はピンクのTシャツと黒のショートパンツという部屋着スタイル。完璧にくつろぎモードだ。
そして普段はひとつにまとめている髪の毛も、今は束ねずナチュラルなまま。