イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「ほら、やっぱり弱い」
私の弱点を攻めて得意げに微笑む安藤が憎らしい。
「からかわないで! もう寝る!」
これ以上、酔った安藤と一緒にいたらなにをされるかわからない。
身の危険を感じた私はソファから勢いよく立ち上がると、飲みかけの缶ビールをローテーブルの上にカツンと置いた。
安藤をリビングに残して思うのは、寝室のベッドがシングルでよかったということ。もしベッドがダブルだったら、酔って触り魔に変身した安藤が一緒に寝ようと言いかねない。
酔っ払いはソファで寝ればいいんだ!
プリプリしながら寝室に入った私の目に映るのは、ベッドの中ですやすやと寝息を立てている蓮くんの姿。
ああ、癒される……。
あどけない寝顔を浮かべる蓮くんを起さないようにそっとベッドに入ると、すぐに瞳を閉じた。けれど脳裏に浮かぶのは安藤のことばかり。
乾ききっていない黒髪、お風呂上がりの熱い体温、そして耳にかかった温かい吐息。さっきの安藤は普段の安藤とは違い、男の色気がダダ漏れしていた。
私も安藤も、お互いの新たな一面に戸惑ってしまうのはどうしてだろう。
明日は早起きしなければならないのに、すぐに眠れそうにない。