イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
すったもんだがあった昼食を終え、再び園内を進む。これから見るのは蓮くんの大好きなライオンだ。
蓮くんの歩くスピードが速い気がするのは、ライオンに会えるのが楽しみだから?
無邪気な蓮くんがかわいらしい。
スタスタと足を進める蓮くんに引っ張られるように歩いていると、とうとうライオンゾーンに到着した。繋いでいた手をパッと離して柵の前に走り出した蓮くんの後を追う。
まず目がいくのは立派なたてがみと大きな手。今は隠れている鋭い爪とキバで獲物を捕らえる姿を想像しただけで、ぶるりと身の毛がよだった。
「蓮くん、すごいね」
さすが百獣の王。とても強そうだと思いながら、隣の蓮くんに話しかけた。けれど蓮くんの反応がない。
あれ?と思いつつ隣にいるはずの蓮くんに視線を向ける。でも、そこにいたのは見知らぬ男の子。
「ママ~」
見ず知らずの私に話しかけられて困った表情を浮かべた男の子は、助けを求めるようにすぐ先にいる母親のもとに駆け寄って行ってしまった。
その子の後ろ姿に向かって「驚かせて、ごめんね」と、心の中で謝ると、すぐに辺りを見回した。しかし……。
「蓮くん?」
声をあげてみても、肝心の蓮くんは見つからない。
ついさっきまで一緒だったのに……。