イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
同期のアイツとキス
ひと通り動物園を見て回り、バスと電車を乗り継いで横浜駅に到着するとファミリーレストランに入った。
今日はたくさん歩いた。昨日のように食材を買って夕食を作る元気はない。
蓮くんはお子様パスタを、安藤はビーフステーキを、私はオムライスをペロリと完食すると帰路につく。
蓮くんが小脇に抱えているのはライオンのぬいぐるみ。今日の思い出にと、動物園のお土産ショップで安藤が蓮くんに買ってあげたのだ。
「蓮、今日は楽しかったか?」
「うん!」
「そうか。また一緒に行こうな」
「うん。ほのかちゃんもいっしょにね」
私の顔を見上げて、にこやかな笑みを浮かべる蓮くんは食べてしまいたいほどかわいらしい。
「うん。一緒に行こうね」
私を誘ってくれたことをうれしく思いながら、安藤のマンションに続く歩道を三人で進んだ。
いつもは満員電車に揺られて、周りの景色には目もくれず職場に急ぎ、慌ただしく業務をこなして、仕事で疲れた体を引きずって帰路につく。
けれど今日は私が迷子になるというハプニングはあったものの、のんびりとした一日を過ごせた。体は疲れていても、心は充実感で満たされている。その証拠に蓮くんも安藤も、そして私も、終始笑顔が絶えない。