イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

安藤のマンションに到着すると早々に、蓮くんと安藤が一緒にお風呂に入った。その間に空になったお弁当箱を洗う。

小さな子を連れて出かけるのは楽しい。けれど、ひと息つく暇もなく一日が過ぎてしまう。蓮くんを預かるのは三日間限定。それなのにもう、すでに疲れを感じている自分が情けなかった。

「ふう」とソファに崩れるように座り込み、目を閉じる。

このまま寝てしまいたい……。

そう思っていると、リビングに蓮くんが現れた。お風呂上がりの蓮くんは裸のまま。しかも体も頭も濡れている。

「蓮くん。拭いてあげるからこっちきて」

「うん」

ソファから立ち上がり、蓮くんが手に持っていたタオルを受け取る。そして、その小さな体と頭をワシャワシャと拭いた。

「蓮くんはひとりでお着替えできる?」

「うん、できるよ」

「本当? すごいね」

少し大袈裟に褒めると、蓮くんが得意げにパジャマに着替え始めた。前ボタンを止めるのに苦戦している蓮くんがかわいい。

ほんわかと蓮くんの様子を見ていると、今度は安藤がリビングに現れた。昨日と同様、お風呂上がりの安藤は上半身裸だ。割れている腹筋にどうしても目がいってしまう。

「穂香、お風呂どうぞ」

目のやり場に困っている私に構うことなく、安藤が平然と言い放つ。

「もうっ! 早く服着てよ」

「へい、へい」

昨日とまったく同じやり取りをすると、逃げるようにリビングを後にした。

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