イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

ひとりでゆっくりと湯船に浸かり、疲れを癒す。

蓮くんと安藤との同居も、残すところあと一日。折角仲良くなった蓮くんとお別れするのは寂しいけれど、ずっと一緒に暮らすわけにはいかないのだから仕方ない。

「う~ん」と手足を伸ばすと湯船から出た。



着替えを済ませ、髪の毛を乾かしてリビングに向かう。けれど、そこにいると思っていたふたりの姿がない。

もう、寝室に行ったのかな?

そう思い、寝室に移動した。ドアをそっと開けた先に見えたのは、ベッドに横になっている安藤と蓮くんの姿。

「安藤?」

私の小さな声を聞いた安藤が上半身を起こす。そしてすぐに「シー」と人差し指を口にあてた。コクリとうなずき静かに足を進めれば、蓮くんはすでに規則正しい寝息を立てていた。

「一緒に横になったらすぐに寝ちゃったんだ」

「そうなんだ。たくさん歩いたから疲れたんだね」

大人の私でも今日はさすがに疲れたのに、おんぶも抱っこもねだらなかった蓮くんはもっと疲れたはずだ。

「ねえ、安藤。蓮くんの寝顔ってかわいいよね。天使みたいじゃない?」

「そうだな」

安藤と顔を見合わせて、クスクスと笑った。

暗がりの中にもかかわらず、間近に迫った安藤の笑顔がまぶしい。

胸がトクンと跳ね上がり、頬が熱を帯び始める。動揺していることを悟られたくなくて、安藤から急いで視線を逸らすと、頭の上に彼の手がポンとのった。

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