イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
Stage.5
子育て同居最終日
「ほのかちゃん! おきて! あさだよ!」
「……っ!」
大きな声に驚いて目を開けると、私を見下ろしている蓮くんがゲラゲラと笑い出した。
「ほのかちゃん、おねぼうさんだね」
動物園から帰ってすぐに眠った蓮くんは朝から元気いっぱいだ。
「蓮くん、おはよう」
「おはよう!」
一方の私はというと、昨日はたくさん歩いて疲れたのに目が冴えてちっとも寝つけなかった。
まだ布団の中で眠っていたいというのが、今の本心。でも蓮くんを前に、ゴロゴロするわけにはいかない。
気合いを入れてベッドから起き上がる。そして蓮くんと一緒にリビングに向かった。けれど、そこにいるはずの安藤の姿がない。
「あれ? あさひ、いないね」
「そうだね。トイレかな?」
安藤がいないことを不思議がる蓮くんと一緒にリビングを出て廊下を歩いていると、玄関のドアがガチャリと開いた。外から帰ってきたのは、安藤だ。
「あさひ! どこいってたの?」
蓮くんがスニーカーを脱いだ安藤に駆け寄って行く。
「蓮。まずは朝の挨拶だろ?」
「おはようございます」
安藤に挨拶を促された蓮くんが頭をペコリと下げた。行儀いい蓮くんがかわいらしい。
「おはよう」
「あさひ、どこにいってたの?」
安藤がどこに行っていたのか興味津々の蓮くんが、再び尋ねる。
「近所のパン屋だよ。朝、食う物がなにもなかったからさ」
そう言った安藤が、白いレジ袋を蓮くんに見せた。