イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした

朝食を終えると、蓮くんがテレビをつける。ゴールデンウイーク最終日の今日は日曜日。これからライダーの放送が始まるらしい。

変身前のお兄さんがカッコいいんだよね……。

ソファに座る蓮くんの横に腰を下ろし、一緒にテレビを見る。すると蓮くんが私の膝の上にのっかってきた。視線はテレビに釘づけなのに、自然に甘えてくる蓮くんがかわいらしい。

折角懐いてくれたのに、今日が最後なんて寂しいな……。

今度いつ会えるかわからない蓮くんとの別れがつらい。蓮くんの体に手を伸ばすと後ろからギュッと抱きついた。

小さくて柔らかい感触が心地いい。

蓮くんに体をすり寄せていると、安藤が私の隣にドシンと座った。

「なにイチャついてんだよ」

これが蓮くんとの最後の触れ合いになるのかもしれないというのに、遠慮をみせない安藤にイラついてしまう。

「今いいところなんだから邪魔しないでくれる?」

蓮くんをひとり占めしたくて腕の中に囲い込んだ。

「俺も混ぜろよ」

長い手を伸ばして、無理やり蓮くんに触れようとする安藤が鬱陶しい。

「ちょっと、やめてよ」

安藤に張り合うように身を固くして抵抗した。すると蓮くんが大きな声をあげる。

「あさひもほのかちゃんも、しずかにしてよ!」

怒った蓮くんは五歳だというのに、迫力満点だ。

「はい。すみません」

「ごめんなさい」

安藤と私が口々に謝ると、蓮くんが再びテレビに集中し始めた。

蓮くんに怒られちゃったじゃない!

隣にいる安藤をジロリと睨めば、彼の口角がニヤリと上がっていることに気がついた。

もしかして、わざとちょっかい出してきた?

相変わらず安藤は意地悪だ。

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