イジワル同期は溺愛パパ⁉ でした
「ひどい言いようだな。なあ、俺にもひと口ちょうだい」
安藤は一瞬頬を膨らませたものの、イチゴ味のジェラートを見るなり甘えモードに変身してしまった。
「自分で買えば?」
素気ない態度を取ってしまったのは、おいしいジェラートがあっという間になくなってしまうのが嫌だから。蓮くんのひと口は小さくてかわいいけれど、安藤のひと口は絶対大きい。
ジェラートを隠すように安藤に背中を向けようとした矢先、向かいの席に腰を下ろした彼の手がスッと伸びてくる。そして私の右手首を掴んだまま顔を寄せた安藤が、イチゴ味のジェラートに口をつけた。
私の許可なくジェラートを勝手に食べるなんて信じられない。
「あっ、もう!」
安藤はジェラートに口をつけたまま、不満の声をあげる私を上目づかいで見つめた。
ついさっきまで私が味わっていたジェラートに、今は安藤の唇が触れている。
中学生じゃないし、間接キスくらいで大騒ぎするつもりはない。それなのに、どうしても安藤の唇が気になってしまい、彼から目が逸らせなかった。
一度は忘れると決めたはずの昨夜のキスが、再び頭によみがえる。
安藤はどうして私にキスしたの?
昨日のキスの意味を改めて考えていると、安藤が視線を私に向けたままジェラートから口を離した。
「ん。うまい」
舌を出して唇を舐めた安藤がつぶやく。
上目づかいで私を見つめた艶やかな視線、舌を出して唇を舐める仕草。次々繰り出される安藤の色っぽい姿は心臓に悪い。