そんな目で見ないでっ!
「バス乗るぞ!」


司が突然走り出したので、秋菜も一緒に走って、滑り込むようにバスに乗り込んだ。


「どこ行くの?
あたし、聞いてないんだけど」


司と並んで座りながら秋菜が尋ねると、司はポケットからチケットを取り出し、1枚を秋菜に渡した。


「え?これって」


「そ!秋菜が行きたがってた遊園地」


出来たばかりの遊園地で、アトラクションの数が多く、一番目玉のジェットコースターがとにかく怖いと評判で、秋菜は行きたいとよく口にしていた。


「ほんとは夏のがいいんだけどさ、水着見れんじゃん、秋菜の」


司はそう言いながらも秋菜の喜ぶ顔をニコニコしながら見つめている。


「あんま見ないでくれない?」


秋菜が目を反らしながら言うと


「嫌だね。ずっと見てたい位なのに」


司はサラリとそう言った。
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