そんな目で見ないでっ！
秋菜は絶叫マシーンに懲りたので、観覧車に乗ることにした。

大きな観覧車で、乗ってから降りるまでに20分以上かかる。

秋菜は何も考えずに乗り込んだが、司は嬉しさと緊張で心臓がバクバクいっていた。

乗り込んでから秋菜は初めてマズイと思ったが、すでに手遅れだった。


「あのさ！この観覧車すごいよね！」


秋菜は沈黙が嫌であえて明るい声で話をふったが、司は秋菜をじっと見つめていて、思わず目を反らした。


「…緊張してんの？」


司はそんな秋菜の様子を見て小さく笑った。


「それってさ、俺を男として意識してるって事じゃねぇの？」


司は立ち上がり、秋菜の隣に座った。


「な、何言ってんの？
んなわけないじゃん！
司が生意気にキスとかしてくるから警戒してんの！」


秋菜は否定したが、声が上擦っていた。


「秋菜、見てみ。
外の景色、すっげーぞ」


秋菜の言葉を無視して、司は外に視線を移した。

観覧車から見える景色はいつもの見慣れたはずの景色を綺麗に縁取っていた。
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