そんな目で見ないでっ!
小さく動く車。

豆粒程の家家。

オレンジ色に染まりかけた空。

まだらにかかる雲が夕日に染まり幻想的なグラデーションを作る。


「綺麗…」


秋菜は思わず息を飲んだ。

ただひたすらその景色を見ていた。


「綺麗だよな、やっぱ…」


司がすぐ近くで呟いたので秋菜が振り返ると、司は景色ではなく秋菜をじっと見ていた。


「な、何?」


「秋菜ってさ、自分がどんだけいい女か知らねぇだろ?」


「…はぁ?!」


「世界一いい女だよ、秋菜は」


司が熱っぽい目で秋菜を見つめながらそう言ったので、秋菜はカァッと顔が熱くなった。


「…司、目悪いんじゃない?
あたしがいい女なら男がほっとかないよ。
そんな事言ってると司も彼女出来ないんだからね」


秋菜は恥ずかしさを隠すようにそう言うと、司はムッとした表情を見せた。


「彼女は秋菜以外考えらんねぇから」


それだけ言うと立ち上がり、秋菜の向かいに座り、頬杖をついて外に視線を移してしまった。
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