そんな目で見ないでっ!
昼休み、友利がお弁当を持ってやってきた。

友利の後ろから緑川さくらがついて来ている。

さくらは見た目も中身もぶりっ子なのだが、天然なのでどうしても憎めない。

男女問わず話す時は甘い甘えた声を出し、上目使いで人を見る。

男子はそれだけでクラッとくるらしいが、女子には反感を買われる事もしばしば。


「一緒に食べよう」


さくらが甘い声で言ってきたので、秋菜は


「いいよ」


と言った。

昼食をとりながら話をしていたら、さくらが上目使いで秋菜を見ながら話をふってきた。


「あのねー、ずっと、聞きたかったんだけどー」


秋菜はさくらを嫌いじゃないが、じれったい話し方だけは嫌いだった。


「毎日、一緒にいる男の子ー、秋菜ちゃんのー、彼氏君なのー?」


あまりのじれったさで苛々していた所にこの質問。

秋菜はイラッとしてしまい


「違うよ!」


と、つい声を荒げてしまった。

それを聞いたさくらは、目をうるうるとさせた。


「ごめんねー…変な事、聞いちゃったんだね…」


今にも泣きそうな顔で秋菜を見るので、秋菜は溜息をついて、ごめんと言った。
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