そんな目で見ないでっ!
「悪いんだけどさ、もうちょっと離れてくれないかな?」


「えー、どうして?
さくらといるの、嫌?」


二人の会話を友利は聞いていた。

二人が両思いになっているのなら仕方がない。

悲しいけど身を引かなければ、そんな事を考えながらも、怒りが込み上げていた。


「友利ちゃんも、ひどいよねー。
いっつも先に帰っちゃうなんてー」


友利は耳を疑った。

いつもさくらから


「亮太君がー、友達と帰るから、先に帰るって伝えてってー。
ひどいよねー。」


と伝えてきていたのだ。

友利は思わず二人の前に出ていた。


「どういうこと?」


友利を見て、亮太はキョトンとした顔をしていたが、さくらは顔を醜く歪ませて小さく舌打ちをした。

しかしすぐに表情を変え、いつものうるうるした目で友利を見た。


「あたし、いつもさくらに、亮太が先に帰るって言ってたって聞いてたよね?
なのに何で二人が一緒にいるわけ?」


友利の言葉に驚いたように亮太はさくらを見た。

さくらは小さく首をふりながら潤んだ目を亮太に向けて


「友利ちゃん怖い…」


と亮太に呟いた。

< 31 / 96 >

この作品をシェア

pagetop