そんな目で見ないでっ!

ファーストキス

司と秋菜は家が近所で、小さい頃から二人で一緒にいる事が多かった。

小さい司を秋菜は弟のように思っていて、自分の後を必死で追い掛けてくる司が可愛くてたまらなかった。

その関係が微妙に変わったのは、秋菜が高校二年、司が小学六年の時だった。


「秋菜姉ちゃんには好きな人いるの?」


家の前で待ち伏せしていた司に突然そう聞かれた。


「好きな人?今はいないな。
もしかして好きなコ出来たの?
その相談?」


俯く司の顔を覗き込もうと顔を近付けた瞬間、秋菜は司にキスをされた。

突然の出来事で何が起きたのか分からないでいると、司は秋菜をギュッと抱きしめ


「急いで大人になるから、それまで待ってて」


と言い、走り去って行った。

司のランドセルの蓋がバタバタと揺れながら動くのを、秋菜はただぼんやりと見ていた。
< 4 / 96 >

この作品をシェア

pagetop