そんな目で見ないでっ!

おねだり

秋菜はあのキスを後悔していた。

考えればいつもの冗談だと分かったはずなのに、何故かあの時、頭より先に体が動いていた。


「うー…あたし、何て事したの?!
ヤバイじゃん、ヤバすぎだってー」


部屋で一人になると、秋菜はあのキスの事ばかり考えて、一人でジタバタしてばかりだった。


「……司のほっぺ、昔はプニプニしてたのに…
引き締まったのかなー、あんまり柔らかくはなかったよね………って違~う!
何考えてんの、あたし!」


秋菜の心の中には確実に司が入り込んできていた。

でも、秋菜はそれを認めてしまうのがどうしても怖かった。


「秋菜?一人で盛り上がってるとこ悪いけど、ちょっと買い物頼まれてくれない?」


母親が部屋の中に入ってきた事にさえ気付かずに秋菜は一人で悶々としていた。


「若いっていいわねぇ」


買い物に出ようとした秋菜に、母親が飛び切りの笑顔で言った。
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