そんな目で見ないでっ!
部屋で一人、買った服を広げていると、秋菜の母親が入ってきた。

服を見ると


「あらあらあら。
それが司君の好み?
いいじゃない。着て見せてよ」


と言ってきた。

秋菜が渋々着替えると


「似合うわ~。
秋菜、今までこんな服買わなかったもんね」


と、楽しそうに見ていた。

黒いサマーニットはシンプルなデザインだが、肩出しタイプ。

タータンチェックの赤いミニスカートは段のフリルがついている。


「恥ずかしいじゃん、こんな服、初めてだし」


秋菜がもじもじしながら言うと、母親は


「若い時しか着れない服がたくさんあるんだから、今のうちに色んなの着るのが楽しいのよ?
それに、ずっと思ってたんだけど、秋菜はスカートが似合うのに、はかないなんて勿体ないじゃないの」


とにこやかに言った。


「ちなみに、このニットなら、大きなペンダントトップのネックレスとか、大きいビーズのロングネックレスとかつけると可愛いんじゃない?
靴はやっぱりブーツ系かしらねー」


母親は楽しそうにコーディネートをしながら、時折チラッと秋菜の表情を伺っていた。
< 53 / 96 >

この作品をシェア

pagetop