そんな目で見ないでっ!
さくらは秋菜からの返信メールを見ながらクスッと笑っていた。

相談なんてない。

ただ、秋菜の中に司への不信感を植え付けてやるのが目的だったのだ。

一度不信感を持つとそこからいくらでも崩す事が出来る。

司がどんなに秋菜を好きでも、秋菜が司を拒絶するようになれば、さくらにも付け入る隙があるかもしれないと考えたのだ。

さくらは放課後が来るのが楽しみで仕方なかった。

放課後になると、誰よりも早く教室を抜け、秋菜に指定された音楽室へと向かった。

秋菜を待ちながら、最初はどうやって切り出そうか等と考えていると、音楽室のドアが開いた。


「秋菜ちゃん、ごめんね~」


甘い声を出して振り向くと、秋菜ではなく友利が立っていた。


「な、何?」


さくらは驚いて、いつもの甘い声を出すのを忘れていた。


「ふーん、それがあんたの本当の声なんだ」


友利はニヤリと笑いながらさくらに近付いた。


「…え、えー?何の事?」


さくらはいつもの話し方と声に戻り取り繕おうとしたが、友利はさくらを馬鹿にしたように笑った。
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