そんな目で見ないでっ!
「喧嘩相手欲しいなら、あたしならいつだって相手になるから」


友利はそう言い残して音楽室を去って行った。

一人残ったさくらは呆然としていた。

素の自分でこんなに話したのは初めてで、その事だけでも変な気持ちだったのに、友利の言葉が胸に引っ掛かり、くすぐったいような悲しいような、複雑な感情が沸き上がってきていた。


「何なの…マジで…」


呟きながら鼻の奥がツーンと痛くなる感覚を覚えた。


「あーあ、もうどうでもいいや」


天井を見上げながらそう呟くと、ぐっと唇を噛み締めた。
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