そんな目で見ないでっ！

ひやかし

司が迎えに来るようになり、秋菜と司は話題の種になっていたのだが、秋菜は知らずにいた。

元々噂話をしたりするタイプではなかった上、友利が悪い噂を秋菜の耳には入れないようにしていてくれたのだ。

しかし、押さえるのにも限界がある。


「秋菜、何言われても無視しなよ」


学校に着くなり友利にそう言われた秋菜は、何の事か分からずキョトンとしていた。

クラスの様子はいつもと変わらない。

何かあるようにも思えない。

何だろうと思っていると、隣のクラスの男子、池田祐一が秋菜の元にやってきた。

二年まで同じクラスだった祐一は、一言で言えばお祭り男だった。

イベント事が大好きで、面白いと思った事にはとことん突き進み、それで失敗しても笑い飛ばす、そんな男なのだ。


「あっきなちゃーん！」


「あ、久しぶり」


「なぁ、この間来てた男、彼氏？」


秋菜は固まってしまった。

そんな秋菜を気にする事なく祐一は大きな声で更に質問をしてきた。


「あいつ、どこ高？
見たことないって皆騒いでんだよな。
イケメンって噂だけど」


秋菜は俯いて黙り込んだ。
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