そんな目で見ないでっ!

ヤキモチ

司は苛々していた。

何度伝えても、秋菜はどこか冗談半分で聞いているように思えた。

その上、他の男と楽しそうに並んで歩いていた。


秋菜の隣にいるのは俺なのに…


「クソッ!」


ベッドに寝転がり、落ち着かない様子で何度も寝返りをうっている。

目を閉じると、祐一と楽しそうに笑う秋菜の顔が浮かんでくる。


秋菜が誰かのものになったら…


それを考えると堪らなくなる。

男友達と歩いているだけでも苦しくなるのに、他に好きな人が出来てしまったら気が狂ってしまうかもしれない。

5歳の年の差が、今更ながら恨めしくなる。

そんなの何て事ない、大丈夫だと何度も言い聞かせてきた気持ちが、今にも折れてしまいそうだった。


「クソッ、クソッ、クソッ!」


枕をギュッと抱きしめて、ぶつけようのない苛立ちを抱えていた。
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