そんな目で見ないでっ!
そんな時、チャイムが鳴った。


「もしかして」


司は勢いよく部屋を飛び出すと、急いでドアを開けた。

秋菜かもしれない、そう思ったのだ。

しかし、ドアの前にいたのは同じクラスの森下香苗だった。


「…こんにちは」


香苗はもじもじしながら司にそう言うと、真っ赤な顔で俯いた。


「…何?」


司が素っ気なく言うと、香苗は体をピクッと震わせた。


「…あのね…あの…」


「だから何?」


「あのね、私……好きなの、司君の事が…」


香苗は俯いたままそう告げた。

予想はついていたが、いざ告白されると気が重くなる。

司は溜息をついた。

香苗は顔を上げると、目を潤ませて司を見上げていた。


「…で?」


「で?って…」


今にも泣きそうな顔で司を見て、唇を噛んでいる。


「俺、前にも言ったよな?」


司の言葉に、香苗はコクリと頷いた。


「だったら答えも分かってんだよな?
俺、好きな女いるから、何度言われても無理だから」


香苗はすがるような目で司を見つめていた。
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