そんな目で見ないでっ!
司はわざとらしく溜息をついた。

香苗は過去に三度も司に告白し、その度にふられていた。

ふられるたびに友達に泣きつき、必ず司は責められた。


「何で香苗をふるの?」


「可愛いし、性格だってすごいいいんだよ!」


「おかしいんじゃない?」


香苗の友達に囲まれ、司は何分もの間、罵声に堪えなければならなかった。

そして最後に必ず言われるのだ。


「悪いと思うなら、香苗と付き合って」


と。

いい加減その状況にもうんざりしていたので、司はいつもに増して冷たい態度を取った。

確かに香苗は、クラスの女子の中では一番可愛い顔をしていたが、司のタイプではない。

外面は良いが、内面では何を考えているのか疑問に思う事がある。

そんな女はごめんだと思っているのも事実。


「お前さ、ホントは俺の事好きじゃねーだろ?
好きだったら毎回あんな事ダチにさせねーよな、普通」


「…ごめんなさい」


司の言葉に香苗はシュンとした顔で謝った。

その顔がさくらとたぶって見えた。
< 70 / 96 >

この作品をシェア

pagetop