そんな目で見ないでっ！

「女がふられて傷付く度にふった男が責任取って付き合わなきゃなんねぇなら、この世に両思いなんてなくなんじゃねぇの？
頭悪ぃな、お前ら」


司は冷ややかにそう言うと、その場を去ろうとした。

その態度に怒ったゆかりは、司を怒らせる言葉を口にした。


「あんた、高校生追っ掛けてんでしょ？
しかも全然たいした事ない女！
あんなのより香苗の方が何倍も可愛いのに」


司はグッとゆかりを睨みつけた。

司の怒りが伝わったのか、ゆかりもその他の女子も表情を変えた。

ゆかりに歩み寄ると、司は低く響く声で


「それ以上言ったら女でも容赦しねぇ。
知りもしねぇくせに知ったような口利くな」


とだけ言いその場を立ち去った。

司が去った後、ゆかりはヘナヘナとその場に座り込んだ。

睨まれただけで身がすくむ程怖いと感じたのは生まれて初めてだった。

どれだけ司が秋菜を大切に思っているのか、あの目でよく分かった。


「あれじゃ敵いっこないよ…」


そう呟いたゆかりに、他の女子も頷いていた。