そんな目で見ないでっ!
「ごめんね、香苗…
でも、あいつはもう諦めた方がいいよ…」


ゆかりはそう呟いた。

香苗は状況が掴めず、思わず顔を上げた。


「泣いてなかったの?」


ゆかりは香苗の顔を見て、信じられないものを見たという顔をした。

香苗はとっさに取り繕おうとしたが、もう遅かった。


「どういう事?
……今までもそうやって騙してたの?」


ゆかりの顔色がみるみる変わっていく。


「…騙される方が馬鹿なんじゃん」


香苗はゆかりから目を反らしながらそう言った。

ゆかりは香苗を睨みつけ、そのまま去って行った。


「どれもこれもあの女のせいじゃん!」


香苗は怒りに顔を歪ませて何やら考え込み、思いついたようにニヤリと笑った。
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