そんな目で見ないでっ!
司はテスト中も、テスト勉強中も片時も携帯を放さないでいた。

いつ秋菜からメールが来てもいいようにしていたのだ。

しかし虚しくなる程携帯は静かで、友人からのメールすら来ない。


「ったく…メールしろって言ったのによ…」


シャーペンをクルクル回しながら携帯に目を落とすと、寂しそうに溜息をついた。

秋菜とはまだ恋人同士ではない。

だから会えない間に関係が切れてしまったら、もし他のが秋菜を奪っていったらと不安ばかりが募る。

本当は毎日でも会いに行って、秋菜に誰も触れない様に目を光らせておきたかった。

一日でも早く秋菜が応えてくれるように、いつだって気持ちを伝えていたかった。

だけどそれが出来ない状況に司はあった。

司の母親から


「赤点を一つでも取ったら夏休み中は毎日塾に行かせるからね」


と宣言されてしまったのだ。

夏休みには司なりの計画があったので、塾なんて行ってる暇はない。

そのためにも司は秋菜に会いたいのを我慢して勉強に勤しんでいた。
< 79 / 96 >

この作品をシェア

pagetop