そんな目で見ないでっ!
テスト開始直前、司の胸ポケットで携帯が震えた。

司は先生に見つからないようにしながら携帯を開いた。


『テスト頑張れ』


たった一言だけの秋菜のメール。

それでも飛び上がりそうな程嬉しくて、思わず隣の席の友人に抱き着いた。

みんなが変な目で見ているのが分かったが、全く気にならなかった。

嬉しくて、嬉しすぎて、そのまま教室を飛び出してしまいたくなった。

ニコニコしながら携帯の画面をしばらく眺め、秋菜に返信した。


『すっげー頑張る!
秋菜、めちゃくちゃ愛してる』


幸せな気分に浸ったまま始まったテストは、前日までとは違って、調子良くスラスラとペンが動いていた。
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