そんな目で見ないでっ!
「ほい、出掛けるぞ」


司は秋菜の腕を引き、強引に外に連れ出した。

話を聞いていなかった秋菜は、司に何度もどこに行くのか聞いたが、司は言わなかった。

電車に乗り込み、隣町で降りた。

秋菜達の住む町よりも大きく栄えている町で、人が溢れている。

司は人波を難無くすり抜けて歩いて行くが、秋菜は揉みくちゃになっていた。


「何やってんだよ」


司は少し呆れたように言うと、秋菜の手を握り歩き出した。

歩調を合わせ、秋菜を庇いながら歩く。


「男らしいじゃん」


「ん?何か言った?」


秋菜の声は司には届いていなかった。

しばらく歩いて、目的の店が見つかったのか、司はニヤッとした顔で秋菜を見た。


「ここで水着を買うぞ」


ギャル系の服や雑貨が並ぶ店。

秋菜が入らない系統の店だった。

< 87 / 96 >

この作品をシェア

pagetop