そんな目で見ないでっ!
「すっごい似合ってる~」


秋菜を見て、店員がわざとらしい程の声を上げた。

それを聞いて、司も試着室を覗き込んだ。


「おー!似合う!
秋菜、マジ、すっげー可愛い!」


司は嬉しそうにそう言うと、思い切りカーテンを開けた。

バッと開けられたカーテンに、店内の客数人が振り返った。

秋菜は逃げ出したい気分だった。


「もういいでしょ?」


秋菜が試着室のカーテンを閉じると、司がスルリと中に入ってきた。


「ちょっ、な、何?」


司は秋菜を後ろから抱きしめた。

ビクッと秋菜の体が反応したのを司は嬉しく感じていた。


「秋菜、この水着買うよな?」


「…無理だって…ねぇ、離れてよ…」


「ヤダねー」


「お願いだから」


「秋菜ってやっぱ良い匂い」


司は秋菜の首筋に軽く唇を寄せながらそう呟いた。

秋菜の顔が見る間に赤くなる。


「水着、これでいいよな?」


「だから、無理だって」


「じゃあ、うんって言うまでこのままでいる」


司は秋菜の反応を楽しむようにそう言った。
< 89 / 96 >

この作品をシェア

pagetop