そんな目で見ないでっ!
「んじゃ、おばさん、行ってきます」


「行ってらっしゃい」


秋菜の母親に見送られ、予定より早く家を出た。

8時30分のバスはまだ姿すら見えない。

バス停のベンチに腰を下ろす。

雲一つない青空は澄み渡り、ジリジリと日差しが照り付けている。


「すっげーいい天気」


司は嬉しそうに空を見上げながら、自分の影で秋菜を覆った。


「日焼けってあんまり良くねぇんだろ?」


司の優しさがくすぐったかった。


「お、バス来た」


バスに乗り込むと、並んで腰を下ろした。

夏休みだからか、司達以外は誰も乗っていない。


「貸し切りっぽくねぇ?」


司が無邪気な笑顔でそう言ったので、秋菜もつられて笑顔になり、頷いていた。


「眠いなら寝てていいよ?
着いたら起こすから」


朝早くに起こしたのを気にして、司がそう言ったので、秋菜は首を振った。


「もう目、すっかり覚めたからいいよ」


秋菜の言葉を司は目を細めながら嬉しそうに聞いていた。
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