そんな目で見ないでっ!
バスで揺られる事1時間、ようやく目的地に着いた。

山間の小さな入江にある静かな海水浴場。

バスを降りても海は見えなかったが、潮の香りが海の存在を教えてくれた。

舗装のされていない道をしばらく歩くと、木々に囲まれた景色がパァッと開けた。

目の前に海が広がる。

足早に道を下り、砂場に降り立った。

地元の子供達が楽しそうに泳いでいたが、それ以外は人も疎らだった。


「あっちにシャワー室あるから、着替えてこいよ」


司はさっとTシャツとジーンズを脱いだ。


「俺、着てきたからさ」


ジーンズの下の水着を指差し、楽しそうに笑った。


「んじゃ、着替えてくるから」


秋菜は司にそう言うと、シャワー室へと入って行った。
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