お嬢様は恋をしません。
「まぁ、最初のうちは客人として扱われるでしょうね。



ただ?あなたはまぁ、顔はいいから、結婚的年齢期を過ぎたメイドたちに目をつけられて、夜のお誘いをされるようになるでしょう。



そんなあなたは居場所がなくなったと感じて、家を出ることになるでしょうね。



住所がないから職には就けないし、家がないから帰る場所もない。



気づいたら、あなたは路上にダンボールを置いて、からの缶を道行く人に向けることになるでしょう」




それだけ言うと、西条はふふふっと不気味な笑いをこぼした。



これは、あれだ。



逃げたらお前の命はない、ってやつだ…。




「で、高嶋様。お受け頂けますか?」



「…もちろんです」



シュウさんの顔を見てうなづく。



よく見たら20歳そこそこみたいだ。



かっこいいし。




「ありがとうございます。



では、高嶋様には春休みがあける、ちょうど1週間後から働いていただきます」
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