お嬢様は恋をしません。
そして、最後の銀閣寺へ向かう途中に、細い路地を通った。




「この道、暗いねぇ…」




「そうだね、店とかも面してないみたいだし」





そう言いながら私はなんのためらいもなく進む。




「莉緒、もうちょっとゆっくり歩いて」



「へ?なんで?」




湊音は慌てたように私の手を引っ張る。




そして、小さな声で呟いた。




「変な奴とか現れたらどうするの?



俺も一応仕事中だよ?」




「あぁ、ごめんね?」




「俺は奏多と違ってそこまで動きも早くないし、強くもないから。



いざとなった時近くにいてくれないと守りきれないよ」





「そっか…うん」




ほんとに、奏多ってすごかったんだな…。




この間湊音から聞いたことには、空手道場の中で1番強かったらしいし…。




全国大会には出た事なかったらしいけど、あの道場から、毎年1位や2位を輩出している。
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