お嬢様は恋をしません。
だから、多分。




奏多は本当に、強いんだ。




その辺の輩には負けないような、強さを持ってる。





…はぁ。




なんでこんなにも奏多のことばっかり考えてるんだろう。



これじゃ全然楽しくないじゃん。




変なことばっかり考えちゃダメだよね。





気を取り直して、前を向いた。



路地裏を抜けて、少し広がった道に出ると、少しだけ、あかるさがました。





…頭の悪そうな高校生がいる。




しかも、何人も。




地元の不良校の奴らか…。




こっちに向かって歩いてきてる。




待って…、あいつらなんか気持ち悪い。





ニヤニヤ笑って、ずんずんこちらに進んでくる。





「莉緒…?…っ」





固まってしまった私に夏織が心配そうに路地から顔を出した。




制服の男たちを見て固まった。




多分、夏織でも恐怖を抱くんだろう。




「莉緒っ、こっちに、はやくっ」
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