お嬢様は恋をしません。
湊音の声が、遠くに聞こえて。





だめだ、動かなきゃ。




そんなことを言っているうちに、男たちは私たちの目の前に来た。




「可愛いじゃん、こいつら、よくね?」



「あぁ、いいんじゃね?」





前の2人がそんな会話をすると、私と夏織の手を掴んだ。





「ちょっと、離してっ」



「やめてっ、気持ち悪い」




私と、夏織は必死に抵抗したけど、男の力には敵わない。




通りには大人だって数人いるのに、なんでっ。





湊音に助けを求めようにも、ヤンキーに囲まれていて、どうしようもない。




オカくんとハヤミくんは知らないうちにいなくなっている。







結局私たちは、抵抗できるはずもなく、郊外の倉庫に連れていかれた。





放っておけばいいのに、湊音まで拉致られていて、もう、助けを求める方法もない。





私たち3人は手と足をくくられて、倉庫の小さい部屋に押し込められた。
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