お嬢様は恋をしません。
「莉緒、夏織ちゃん、ごめん」




「湊音くんは悪くないよ、あんな危なそうな奴らに手なんか出せないよ」




夏織は泣きそうな顔で、湊音を見る。




湊音の顔は多少殴られて綺麗な顔が赤く腫れていたり、唇から血が出ていたり。




髪もボサボサ、服も黒く汚れている。





「莉緒、これからどうしよう…けほっ」




「手が外せたら足も外せるんだけれど…」




「下手に外せても、ここを出たら…男どもが山ほどいる。



だから、ここから抜け出せる…保証もない」




「ここはとりあえず、我慢するしか…」




「でもさ、助かる保証もないよ?」




夏織は涙目で小さく呟いた。




そう、誰かが助けてくれるなんてほぼありえない。




頼みの綱はオカくんとハヤミくんだけ。




あの2人が役に立つかどうかなんてわからない。




今はあの2人が警察に電話して、先生に報告して…あわよくば奏多に…。




…っ、何思ってるんだろ。
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