お嬢様は恋をしません。
颯太に守られて、湊音に支えられて、シュウがいつも近くにいて。





奏多に救われた。





私は、何をしていたんだろう。




自分の無力さになんで気づかなかったんだろう。






ああ、もうなんで…。




どうして、素直になれなかったんだろう。




今更、認めたところでもう…遅いじゃん。





だって、私…。






その時、シャッターが崩れ落ちる音が倉庫中に響いた。




「なんだ?」



「おい、ちょっとした見てこい」




「わかりました」




湊音を押さえつけていた男が部屋を出ていく。




男はもう一度鍵を締めなおして、そのまま、警戒したように動かなくなった。




何…なんなの…?





「何…今の音…」




「わからない…」




「けほっ、俺なんか…何となく、わかった」



「なんなの?」



「奏多だよ」
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