お嬢様は恋をしません。
大きな音がしてから2分ほどしか経っていないのに、




ドアの前に足音が聞こえて。




鍵のしまっていたドアがベコリとへこんだ。




男2人の視線が扉に集まる。




「な、なんだ?」




どうして…。





凹んだ扉の隙間から、奏多の顔が見える。





湊音はニヤリと笑うと、両手にかかっていた縄をすんなり外して、足の縄を解いた。




そうして立ち上がると、パキパキと首を鳴らした。




「は…?



おまっ、なんで」




「なんでって、この程度、俺が外せないわけないっしょ」




手首をさすりながら、湊音は笑う。





もう一度、ドアを蹴り飛ばす音が聞こえて、吹っ飛んだ扉は男1人にぶち当たった。




「ふぅ、硬いよこのドア」




足首をくるくると回しながら、奏多は笑っている。





「湊音何してんの。ちゃんと働きなよ」




「女の子2人を守るのは流石に俺でも辛いに決まってるでしょ」
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