お嬢様は恋をしません。
「そんなもんかなー」




「奏多のそれは天性だよ」





ドアの下敷きになった男は気絶して動けない様子。





「どうして…」





私の乾いた声が漏れる。





「どうしてって?



俺がここにいること?」






私はコクリと頷いて、涙をためた。





「そんなの、岡くんが教えにきてくれたからだよ」




「でも…なんで」















「莉緒が、好きだからだよ」













奏多は優しく笑って、私の顔を見た。




なんの躊躇もなく、私に告白をした。





「莉緒のことは、シュウさんが教えてくれた。




勝手に聞いてごめんね?




でも、だから。俺、莉緒に何もしないよ。




好きっていうだけ。莉緒はちゃんと彼氏のこと待ちなさい」






変わらない笑みで。




いつもと変わらない笑顔で、私を見て、はにかんだ。
< 113 / 139 >

この作品をシェア

pagetop