お嬢様は恋をしません。
奏多はこれでもかってほど怒られてたけど、最後にはとっても感謝されてた。





警察署には先生たちもいて、他のみんなは全員宿にいるらしい。





夜には私たちも宿に戻れて、ロビーで少し先生とお話ししてから、自分の部屋に入れとだけ言って、先生は部屋に帰っていった。





「莉緒、話、いいかな?」




奏多は私の方を向いて、そういった。




私はコクリと頷く。




「じゃあ私先に上がるね。時雨くんから不在着信たくさんあるしー」




「俺も先上がるわー、岡と速水に礼いってくるねー」




夏織と湊音はとっとと、部屋に上がっていってしまった。




「ねぇ、莉緒」




「…何?」




「好き」





奏多はさっきと違って真剣な顔で、でも私が戸惑っていると気づくと、すぐいつもの優しい笑みを浮かべた。




「ごめんね、困らせたいわけじゃないんだ。




言いたいことは一つ。もう一回、俺のこと雇い直して?




颯太くんが戻ってくるまでで、いいんだけど」
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