お嬢様は恋をしません。
病院にいったあの日から、1ヶ月くらい経った。




柊太に言われたそれは、あまりにも非現実過ぎて。




信じるのに少し時間がかかった。




本当に、目覚めたの…?





「車」




私は勢いに任せて、柊太の目を見る。




柊太は心配そうな顔をして、玄関を出て行った。





不安なところもある。




実際、颯太と目を見て話すのは、昔を思い出してしまうだろうから怖い。




自分の気持ちがぐちゃぐちゃになってしまいそうで不安。




だけど、会わなきゃダメなんだよ。




今の私にはその義務がある。




私は、奏多の部屋に向かった。





「奏多」




「んー?」




「颯太のとこ行く。…目、覚めたって」





奏多は少し驚いた顔をしたけど、すぐに微笑んだ。





「そっか、支度するね」





奏多はものの五分で部屋から出てきて、柊太と3人で、病院に向かった。
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