お嬢様は恋をしません。
颯太の方へ足を進める。




のっそりと起き上がって、ベットから足を垂らす颯太。






「莉緒、後ろの子は新しい子?」





颯太は私の手を握った。




あったかい。




涙が止まらなくて、ただ、頷いただけで。




頷くことしかできなくて。





「高嶋奏多です」




「んー、あ、湊音のいとこか。



こんにちは、僕は柴崎颯太」




「うん、知ってる」





奏多は扉を閉めて、壁にもたれる。





「そっかそっか、知ってくれてるんだ。




莉緒のこと、守ってくれてありがとう」





「いーえ、仕事だからね」





「まぁ、さぞかし強いんだろうね。



一緒にいるってことは」





「んー…どうだろう。




多分、颯太くんよりは強いよ?」




「わー、僕の場所取られちゃったね」





颯太爽やかな笑みを浮かべ、奏多を見つめる。





「んー、いや。




莉緒は君のことを選ぶでしょ?」
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