お嬢様は恋をしません。
そう言って奥へ消えていく奏多。



…なんか、久しぶりに男の裸見たかもしれない。



あんな綺麗に腹筋割れてるのとか…見たことないんだけど。



あーも、なに考えてるの、私。キモい。



私はしれっと電気をつける。が、つかない。



あ、嘘。電気切れちゃってるのか…。



後でシュウに入れ替えてもらおう。




「ごめん、待った?」



「…別に」




ダボっとした部屋着に身を包んで、ソファに座る。



「とりあえず、座る?」



そう言って、向かいのソファを指す。



私は、それに従って、奏多の正面に座る。



「どうかした?なんか、涙の跡あるけど」



優しく微笑んで、髪をタオルで拭く。


こういう時って、なんて言えばいいんだっけ…。


そもそも告白なんてしたことないし…。



ぐるぐると脳内を回る思考が、私の頭はショート寸前。



「莉緒?りーお」



不思議そうな顔をした奏多がすぐ目の前で私の顔をのぞいていたことにも気づかないくらいに。



「〜っ、な、に」



「え、なにその反応。



そんなことしたら期待しちゃうよ?」
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